今回ご紹介するのは、Geminiの「Canvas」機能を使って、経営層向けの資料を作ってみた体験談です。Canvasを活用することで、HTMLで動くダッシュボードが簡単に生成され、もはやPowerPointが不要な時代を実感しました。
先日、上司からこんな依頼がありました。

生成AIサービスを複数導入することになったから、費用をまとめて経営層向けに資料を作ってくれない?
しかも発表は2日後。確認すべき内容は山ほどあります。
- 現状利用しているAIサービス、人数、利用金額の洗い出し
- 新しく導入予定の Copilot / ChatGPT / Gemini / Claude 法人版の料金調査
- 月契約と年契約それぞれの費用シミュレーション
- 経営層が見て分かりやすい資料づくり(グラフや比較表)
…普通にやったら「絶対間に合わない」案件。(通常業務もある😢)
Excelにまとめて、PowerPointでグラフを作って…
手作業でやったら 時短勤務の私には完全に無理ゲー でした(笑)
◆ こんなときこそ、AI活用だ!
今回使ったのは Google Gemini。
テキストで指示をするだけで、必要な構造やHTMLコードを一気に生成してくれます。初めて使ったのですが、想像以上に優秀でした★
最初はこんなプロンプトを投げました。

会社の経営層に対して、AIサービス(法人プラン)の利用料金を説明するように指示がありました。資料を作りたいのですが、手伝ってくれますか?
・MS Copilot (アドインのみ)、Google Workspace (Business Standard) 、Claude.ai(Team)、ChatGPT (Team)で各100ライセンスずつ算出したい。
・ドルと日本円どちらも知りたい。
・月額、年額どちらも知りたい。
・契約プランで月契約と年契約があればその費用差も確認したい。
回答は如何に?
これに対する回答はこちら。(長いです)
承知いたしました。社長や役員メンバー向けのAIサービス(法人プラン)利用料金の説明資料作成をお手伝いします。
以下の情報に基づいて、ドルと日本円の両方で、月額および年額の費用、そして月契約と年契約の費用差を試算します。
AIサービス 法人プラン 利用料金のご説明
1. はじめに
本資料では、弊社におけるAIサービス導入にあたり、主要なAIツールの法人プラン利用料金について、ライセンス数100での試算をご説明いたします。月額費用、年額費用に加え、月契約と年契約の費用差についても比較いたします。
2. 試算条件
- 想定ライセンス数: 各サービス100ライセンス
- 契約形態: 全て法人向けライセンス契約(中小企業向けを想定)
- 為替レート: 1ドル = 155円(2025年7月現在の概算レート)
- ※為替レートは変動するため、実際の請求額は異なる可能性があります。
3. 各サービス利用料金
3.1. Microsoft Copilot (アドインのみ)
- プラン名: Microsoft Copilot for Microsoft 365
- 特徴: Microsoft 365アプリにCopilot機能を追加。
- ドル建て
- 月額(年契約の場合): $30.00 /ユーザー
- 月額(月契約の場合): $31.50 /ユーザー
- 年額(年契約の場合): $30.00 × 12ヶ月 = $360.00 /ユーザー
- 日本円建て
- 月額(年契約の場合): ¥4,497 /ユーザー
- 月額(月契約の場合): ¥4,722 /ユーザー
- 年額(年契約の場合): ¥4,497 × 12ヶ月 = ¥53,964 /ユーザー
- 100ライセンスの場合の総額
項目 月額(月契約) 月額(年契約換算) 年額(年契約) ドル $3,150 $3,000 $36,000 日本円 ¥472,200 ¥449,700 ¥5,396,400
- 費用差(月契約 vs 年契約)
- 月あたり:
- ドル: $31.50 – $30.00 = $1.50 /ユーザー
- 日本円: ¥4,722 – ¥4,497 = ¥225 /ユーザー
- 年間(100ライセンス):
- ドル: ($1.50 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = $1,800
- 日本円: (¥225 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = ¥270,000
- 年契約の方が1ユーザーあたり月額$1.50(約¥225)安価になります。100ライセンスで年間$1,800(約¥270,000)の節約になります。
3.2. Google Workspace (Business Standard)
- プラン名: Google Workspace Business Standard
- 特徴: Gmail, ドライブ, Meet, カレンダーに加え、OfficeファイルをGoogle Docs/Sheets/Slidesで共同編集可能。
- ドル建て
- Google Workspaceの公式ウェブサイトでは、Business Standardの月額/年額のドル建て料金が明確に記載されていないことが多いですが、日本円からの換算で試算します。
- 日本円の年契約月額が¥1,600なので、これを$に換算すると $1,600 / 155円/ドル = $10.32 となります。公式価格は $12.00/ユーザー/月 (年払い) とされることが多いため、こちらを採用します。
- 月額(年契約の場合): $12.00 /ユーザー
- 月額(月契約の場合): $14.40 /ユーザー(年契約より20%増しが一般的)
- 年額(年契約の場合): $12.00 × 12ヶ月 = $144.00 /ユーザー
- 日本円建て
- 月額(年契約の場合): ¥1,600 /ユーザー
- 月額(月契約の場合): ¥1,900 /ユーザー
- 年額(年契約の場合): ¥1,600 × 12ヶ月 = ¥19,200 /ユーザー
- 100ライセンスの場合の総額
項目 月額(月契約) 月額(年契約換算) 年額(年契約) ドル $1,440 $1,200 $14,400 日本円 ¥190,000 ¥160,000 ¥1,920,000
- 費用差(月契約 vs 年契約)
- 月あたり:
- ドル: $14.40 – $12.00 = $2.40 /ユーザー
- 日本円: ¥1,900 – ¥1,600 = ¥300 /ユーザー
- 年間(100ライセンス):
- ドル: ($2.40 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = $2,880
- 日本円: (¥300 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = ¥360,000
- 年契約の方が1ユーザーあたり月額$2.40(約¥300)安価になります。100ライセンスで年間$2,880(約¥360,000)の節約になります。
3.3. Claude.ai Team
- プラン名: Claude Team
- 特徴: 大規模なテキスト処理、長文の要約・生成、高度な対話能力。
- ドル建て
- 月額(年契約の場合): $25.00 /ユーザー (最低5ユーザーから)
- 月額(月契約の場合): $30.00 /ユーザー (最低5ユーザーから)
- 年額(年契約の場合): $25.00 × 12ヶ月 = $300.00 /ユーザー
- 日本円建て
- 月額(年契約の場合): 約 ¥3,750 /ユーザー ( $25.00 × 150円/ドル で試算。Anthropicのヘルプセンターでは「価格、通貨、税金の取り扱いは地域によって異なります」と記載があり、正確な日本円価格は要確認)
- 月額(月契約の場合): 約 ¥4,500 /ユーザー ( $30.00 × 150円/ドル で試算)
- 年額(年契約の場合): 約 ¥3,750 × 12ヶ月 = ¥45,000 /ユーザー
- 100ライセンスの場合の総額
項目 月額(月契約) 月額(年契約換算) 年額(年契約) ドル $3,000 $2,500 $30,000 日本円 約 ¥450,000 約 ¥375,000 約 ¥4,500,000
- 費用差(月契約 vs 年契約)
- 月あたり:
- ドル: $30.00 – $25.00 = $5.00 /ユーザー
- 日本円: 約 ¥4,500 – 約 ¥3,750 = 約 ¥750 /ユーザー
- 年間(100ライセンス):
- ドル: ($5.00 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = $6,000
- 日本円: (約 ¥750 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = 約 ¥900,000
- 年契約の方が1ユーザーあたり月額$5.00(約¥750)安価になります。100ライセンスで年間$6,000(約¥900,000)の節約になります。
3.4. ChatGPT Team
- プラン名: ChatGPT Team
- 特徴: GPT-4oモデルへのアクセス、高い利用制限、ワークスペースの管理機能。
- ドル建て
- 月額(年契約の場合): $25.00 /ユーザー (最低2ユーザーから)
- 月額(月契約の場合): $30.00 /ユーザー (最低2ユーザーから)
- 年額(年契約の場合): $25.00 × 12ヶ月 = $300.00 /ユーザー
- 日本円建て
- 月額(年契約の場合): 約 ¥3,875 /ユーザー ($25.00 × 155円/ドル で試算)
- 月額(月契約の場合): 約 ¥4,650 /ユーザー ($30.00 × 155円/ドル で試算)
- 年額(年契約の場合): 約 ¥3,875 × 12ヶ月 = ¥46,500 /ユーザー
- 100ライセンスの場合の総額
項目 月額(月契約) 月額(年契約換算) 年額(年契約) ドル $3,000 $2,500 $30,000 日本円 約 ¥465,000 約 ¥387,500 約 ¥4,650,000
- 費用差(月契約 vs 年契約)
- 月あたり:
- ドル: $30.00 – $25.00 = $5.00 /ユーザー
- 日本円: 約 ¥4,650 – 約 ¥3,875 = 約 ¥775 /ユーザー
- 年間(100ライセンス):
- ドル: ($5.00 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = $6,000
- 日本円: (約 ¥775 × 100ユーザー) × 12ヶ月 = 約 ¥930,000
- 年契約の方が1ユーザーあたり月額$5.00(約¥775)安価になります。100ライセンスで年間$6,000(約¥930,000)の節約になります。
4. 全体サマリー (100ライセンスの場合)
ドル建て
サービス名 月額(月契約) 月額(年契約換算) 年額(年契約) Microsoft Copilot $3,150 $3,000 $36,000 Google Workspace BS $1,440 $1,200 $14,400 Claude.ai Team $3,000 $2,500 $30,000 ChatGPT Team $3,000 $2,500 $30,000 合計 $10,590 $9,200 $110,400 日本円建て (1ドル = 155円 換算)
サービス名 月額(月契約) 月額(年契約換算) 年額(年契約) Microsoft Copilot ¥472,200 ¥449,700 ¥5,396,400 Google Workspace BS ¥190,000 ¥160,000 ¥1,920,000 Claude.ai Team 約 ¥450,000 約 ¥375,000 約 ¥4,500,000 ChatGPT Team 約 ¥465,000 約 ¥387,500 約 ¥4,650,000 合計 約 ¥1,577,200 約 ¥1,372,200 約 ¥16,466,400 5. 月契約と年契約の費用差総括
全てのサービスにおいて、年契約を選択することで、月々の費用が割安になります。
- 月契約から年契約への切り替えによる年間総額の節約(100ライセンスの場合)
- ドル: $10,590 (月契約合計) – $9,200 (年契約換算合計) = $1,390/月 の節約
- 年間換算: $1,390 × 12ヶ月 = $16,680 の節約
- 日本円: 約 ¥1,577,200 (月契約合計) – 約 ¥1,372,200 (年契約換算合計) = 約 ¥205,000/月 の節約
- 年間換算: 約 ¥205,000 × 12ヶ月 = 約 ¥2,460,000 の節約
結論として、長期的な利用を見込む場合は、年契約を強く推奨いたします。これにより、年間でドル建てで約$16,680、日本円建てで約¥2,460,000のコスト削減が見込まれます。
6. 今後のご提案
上記の試算は、現在の情報に基づくものです。正式な導入に際しては、各サービスの最新の料金プラン、為替レート、および具体的な利用要件(機能、サポート体制など)を再確認し、最適な契約形態をご提案させていただきます。
この資料でよろしいでしょうか?
ご希望に応じて、さらに詳細な情報や、グラフなどを追加することも可能です。
要点が整理され、価格もテーブルで表示されるなど情報の整理はできています。が、長文で経営層に発表するには、ちょっと見づらい印象です。
Canvas で様変わり!
「Geminiの回答をそのままPowerPointに落とし込むべきなのか…」と悩んでいたとき、ふと頭をよぎったのは、少し前に上司が見せてくれたHTML形式の資料でした。あの機能はどうやって使うんだろうと調べてみると、「Canvas」機能がイメージとあいそうでした。

「Gemini に相談」にもう一度、作ってもらいたい内容を入力し、赤枠の「Canvas」ボタンを押します・・!

するとすぐに、右側に Canvas パネルが立ち上がり、プレビューが表示されました!
ただ、インプットの内容が弱く見た目がかなりチープ。ここから修正を重ねるのが人の役目…!

・タイトルや見出しの見栄えを改善してほしい。このHTMLだけで発表が出来るようにしてほしい。
・年契約、月契約の価格は動くグラフにして、ボタンで切り替えが出来るように修正してほしい。
・月額合計、年額合計が一目でわかるように一番最初に持ってきてほしい。
・もっとグラフや表を活用してほしい
Gemini Canvas はどこまで理解してくれるのか・・・?!

嘘のように生まれ変わりました…!これまでテキストが並んでいるだけでイメージしづらかった画面が、グラフやカラフルな数値で一気に分かりやすくなりました。色の使い分けで重要なポイントが際立ち、資料としての完成度がぐっと高まりました。さらに、ボタンを切り替えるだけで年契約時と月契約時の費用を簡単に比較できるようになり、経営層にも直感的に伝わる仕上がりになっています。
…この後も何度か指示を加え、15分ほどで経営層向けに見せられるクオリティに仕上がりました👏
◆ 出来上がったもの
Gemini が提案してくれたのは、HTML+JavaScript で動くダッシュボード形式。
- 月額/年額をボタンで切り替えられる
- 数値を編集するとグラフも自動更新
- そのままブラウザで開けるので PowerPoint不要
まだHTML形式の報告資料は社内に少ないので、「このHTMLはローカルで開けます」と一言添えました。慣れていない方にもすぐ使ってもらえるように、ちょっとした工夫が大切だと感じました。
◆ Geminiの「Canvas」機能とは?
Gemini の Canvas は、2025年3月18日に正式リリースされた新機能です。従来のチャット画面に加えて、右側にエディタ兼プレビュー領域(=Canvas)が現れ、次のようなことが1つの画面でできます。
- 文章やコードの生成・編集・実行が同時にできる
- HTMLやスクリプトをその場で試しながら修正できる
- 結果をリアルタイムでプレビューできる
例えば、今回のように「経営層向けの料金比較ダッシュボードを作ってほしい」と指示を出すと、Canvas上で以下の流れがスムーズに行えます。
- まずはAIが提案するHTMLとJavaScriptのコードをCanvasに出力
- その場でコードを編集、修正を重ねると即座にプレビューが更新
- 気に入ったらHTMLをダウンロードして社内に共有
これにより、従来はエディタとブラウザを行ったり来たりしていた手間がなくなり、「考えながら動かす」スタイルの資料作りが一気にやりやすくなりました。
私も最初は「え?こんなことまでブラウザ上でできるの?」と驚きましたが、Canvas を使えばPowerPoint に頼らずに、動的で分かりやすい資料を短時間で作成することができました。
◆ 上司に見せてみた反応
一応、最初の依頼は「PowerPoint で資料を作って」でした。
でも、Canvas で作業を進めるうちに「いや、これ絶対 HTML で動かせたほうが分かりやすい!」と思って、HTMLダッシュボードを生成。
完成したところで、上司に
「HTMLでこのように作りましたが、この内容を PowerPoint に転記した方が良いですか?」
とお伺いをたてたところ…

これ、見やすいしわかりやすい!いいね!
という、即OK!
その瞬間、「あぁ、報告資料って PowerPoint が必須じゃないんだな…」と、驚きとともに時代の変化を実感しました。もちろん会社や上司の考え方にもよるので、今回がたまたまだった可能性はありますが、PowerPoint での資料作成にかかる時間や手間を考えれば、わが社では PowerPoint とおさらばする日も遠くないのかもしれません。
◆ 各サービスの法人向け費用比較(2025年7月時点)
サービス | プラン | 月額 | 備考 |
---|---|---|---|
Google Workspace(Gemini込み) | Business Standard | 1,900円 | 2025年7月値上げ後/年間契約で1,600円 |
Microsoft Copilot | Copilot アドイン | 4,497円 | – |
ChatGPT | Team | 年払い:25ドル/月 月払い:30ドル | 年契約割引で25ドル |
Claude | Team | 年払い:25ドル/月 月払い:30ドル | 年契約割引で25ドル |
※価格は2025年7月時点の目安。為替や契約条件で変わるので、必ず公式ページをご確認ください。
◆ 実際に Gemini Canvas を試してわかったメリット
- 報告資料の構成を考える手間が省けた
→ どういう見せ方をするかの骨組みを、AIがほぼ提案してくれる。 - 必要なデータさえ揃えれば、あとはほぼ自動で作成
→ データ整理と確認はおおよそ 1~2時間程度 で完了。 - アウトプットの確認・精度を上げる微修正も短時間
→ 30分程度 で全体が仕上がる。 - 結果的に 短時間で完成。従来の資料作成時間と比較し大幅に圧縮できた。
◆ 実際に試してわかったデメリット
- HTMLでの報告に否定的な経営層には向かない
→ 「報告資料はパワポじゃないと…」という文化が強い場合は使いにくい。 - HTMLに慣れていない人には説明が必要
→ ブラウザでの開き方や操作を一度伝えないと理解されにくい。 - ちょっとした変更もAIに再指示が必要
→ HTMLが書ける人なら即修正できるが、そうでない場合はAIに都度プロンプトで伝える必要がある。 - HTMLって危険なイメージがある可能性がある
→ 「HTMLファイル=どこかと通信するのでは?」と心配する人もいる。実際には今回の資料は外部と通信しない安全なHTMLだが、受け取り手に安心感を持ってもらうために、「ローカルで完結しており、外部通信もしない」という説明を添えるとより良い。
短時間でここまで形になるメリットは大きいですが、
HTML形式に慣れていない環境では、事前の説明や調整が必要になるケースがあることは理解しておくと良さそうです🌸
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